2020-04-09から1日間の記事一覧

吸血鬼悲恋物 BAD END

出会ったのはいつの頃だったか、もうそんなことすら思い出せなくなっている。 あれだけ啜った血の味でさえ、記憶と共に色褪せ消えていった。 あんなにも狂おしく愛した、君の面影を僕はもう辿ることが出来ない。 夜の帳は今朝方から降り続く霧雨によって白く…

草食系男子×ビッチ+頑張り屋女子

「負けてしまいました……」涙の滲む沈んだ声音で零しながら、目の前のくのいち――弥生の腰がすとんと落ちる。 つい先ほどまで対峙していた智影の手には、勝利の証である小さな巻物が握られていた。 交換留学と称し、くのいちのみで構成された忍軍を訪れたのは…

幽霊×強気な女の子

「そろそろ一線越えてもイイだろ?」花弁のように愛らしい唇から放たれた唐突な要求に、俺は激しい眩暈を覚える。 神聖なる教会の長椅子の上、あろうことか異性であるこちらの身体を無遠慮に組み敷き、腰の上に乗り上げながら男女の関係を強いる彼女、マイは…

草食系男子×ギャル+おとなしめ女子

果てしなく広がる夜空の下、生まれたままの姿で露天の湯舟にゆったりと浸かるひと時は、老若男女を問わぬどころか人間ほどに発達した感情を持たぬはずの動物をも癒す効能があると言われている。 だが、しかし。ロイは立ち上る湯煙の中、叫び出しそうになる衝…

裏社会のモブ×潜入捜査員

人身売買が日夜行われているというそのショーパブは、奇妙な熱気に満ちていた。 輩の巣窟かと思えば、どうやらこの店にはドレスコードというものが設定されているらしい。テーブルに腰を掛けて食事を楽しんでいる面々は皆、仕立ての良い豪奢なドレス、もしく…

お姫様扱いされる攻×健気で礼儀正しい従順な受②

今夜もグランシャリオのカウンターは、氷の姫君を求める男たちの群れで埋め尽くされていた。 そんな彼らに一瞥もくれてはやらない件の姫君――もとい、その内側に獰猛な素顔を隠した一条怜はいつもの如く美しい顔に冷たい仏頂面を張り付け、投げかけられる口説…

お姫様扱いされる攻×健気で礼儀正しい従順な受①

透けるようなシナモンブラウンの長い髪は、恐らく砂糖菓子のように甘い香りがするのだろう――と、勝手な妄想に暮れながら、有村真琴はこの日もグラス磨きに勤しんでいた。 酒の注文が入らぬほど暇を持て余しているわけでは決してないのだが、営業時間終了間際…

お堅い上司×ワンコ系部下

顔に似合わず甘いものが好物だという彼の指先から、マグカップをふいに奪い取る。 甘ったるいミルクが沈むキャラメル色へと変色した珈琲をひと口含んでみたものの、やはりカフェインの入った飲み物に甘さは一切不要であると再認識した佐藤は思わず舌を出し、…

変態医師×研修医

「あの……。長谷川先生」 「なァに、ゲンキくん?」 「そろそろ離れてもらえますかね……」巡回の時間なんで、と付け足せば、オレの背中にへばりつき、あろうことか同じ男であるオレの身体を背後からあちこち撫でまわしていたセクハラ医師、長谷川誠は幼い表情…

受難体質流され攻✖元ヤン俺様受

誰もが一生に一度出会うであろう、運命の人。 だが、しかし。ひとくちに運命の人と言っても、それが自分にとってどんな道標を示すことになる人物であるかは個々によって違ってくるだろう。 生涯添い遂げる事を誓った愛する恋人、恩人、友人など、とにかくそ…