クラスメイト女子×童貞2

沈む指先を柔らかく包んだ、乳房の感触。そして、自らの熱く滾った劣情を淫らに飲み込んだ膣の蠢き――。思い出すたびに僕の中、本来は深い場所に秘められているとてつもない劣情が力強く脈打つような感覚に捕らわれる。
初めてのセックスを体験してから早一週間が過ぎようとしていたが、あれからというもの辺見との仲は特に進展しないまま、毎日記憶に残った情事の名残に縋りついては妄想に明け暮れるという虚しい日々を送り続けていた。
告白の返事は、未だないままである。だが、しかし――その返事を待てぬほど僕の理性は情欲に取り憑かれ、正しい手順を踏んだ上での交際より何よりも、不埒な関係を再び結びたくて仕方がなかった。

「あの、辺見……」

こんなやましい思いをぶつけたら、さすがの彼女も呆れるだろうか。
一抹の不安がよぎったものの、気が付けば僕は一人で帰り支度を整えていた彼女を後ろから呼び止めていた。
伸ばしかけの髪をふわりと揺らしながら、辺見は振り向く。

「なあに、平良くん」

溌溂としたその笑顔には、性的な香りなど微塵も浮かんではいなかった。
だけど、僕は知っている。こんなにも健康的な彼女の肢体が、雄を求めて淫らにくねり、異物を受け入れる様を。そして、甘い言葉で絶頂を強請り、薄い避妊具をたった一枚隔てたその場所で男の精子を受け止めるあられもない姿も――。

「良かったら、ウチ来ない?」

セックスがしたい、などと馬鹿正直な誘惑は仕掛けられず、その代わりとして両親は夜遅くまで帰宅しないというあまりにも遠回しな表現でそれを匂わせたところ、

「うん、いいよ。また誘ってくれるなんて嬉しい」

と、彼女は微笑み、伸ばした指先で僕の手の甲をつっと撫でた。
瞬間、カッと肌が燃え上がる。それどころか、触れられたそこがどろりと溶けてしまったのではないかと危惧してしまうような熱を感じて、僕は慌てて右手を引っ込めてしまう。
あまりの取り乱しように彼女は大きな眼を驚いたように丸めてみせたが、浮かべられた微笑はそのままだった。

「……じゃあ、行こうか」

取り繕うように帰宅を促し、纏めた荷物を引っ掴む。
鼓動が、妙にうるさかった。どくどくと、早鐘のように脈打っている。
その高ぶりから逃れたくて、僕は歩を進めつつ頭を左右に振ってはみたものの、隣を歩く彼女の毛先から漂う清潔感ある石鹸の香りが鼻を掠めるたび、胸の奥底から劣情が頭を徐々に擡げるような感覚を覚え、混乱する。
本人が側にいるというのに、妄想が止まらない。
そしてその妄想があと少しで実現するかもしれないという期待感に飲み込まれたまま、僕は辺見と共に家路を辿った。



自分たちがたてる物音以外はなにもない、しんと静まり返った家屋の中、辺見と共に自室へと足を踏み入れたとき――淫らな光景が、フラッシュバックする。
ここで僕は、彼女とセックスをしたのだ。
両親に気づかれてしまうかもしれないという背徳を抱きながら、それでも理性を半ば保てず、促されるままに熱を突き動かしてしまった。
だが、今日は――あの時と違って他人の目を気にする必要がない。
果たして自我を保ち続けていられるだろうかと一抹の不安を覚えたその時、辺見はあの時と同じく我が物顔で僕のベッドへと腰を下ろしながら、相変わらずの眩しい笑顔を浮かべたまま、実に無邪気な口調で前回の行為を回想する。

「この間は凄く善かったよ! だからまた誘ってくれて嬉しかった」

まるでスポーツでも楽しんだかのような爽やかさで自身のセックスを批評され、どんな反応を示すのが果たして正しいのか、僕はただ困惑したままその場に立ち尽くしてしまう。
と、そのとき。彼女の笑顔にふと、愁いを帯びた影が差す。

「……実はね、あのとき気持ち良かったのはもしかして私だけだったのかなって、ちょっと不安に思ってたんだ」
「そ、そんなことない……!」

むしろ連日、辺見の肉感を思い出しては悶々とした日々を送り続けるほど、例の情事は頭にこびりついたままだったのだ。
忘れたくても、忘れられるはずがなかった。

「平良くん、ああいうの初めてだったでしょ? だから上手く出来るかちょっと不安だったんだけど……。すっごく気持ち良かったんだ」

うっとりと零した彼女の頬が、興奮の為か徐々に赤く染まり出す。

「私が教えたコト、ひとつずつ覚えてどんどん上手くなっていったよね。だからまた平良くんとセックス出来るの、嬉しくて仕方ないの」

眩しい笑顔と微かな憂いが、少しずつ淫靡に塗り替わっていく様が堪らなかった。
僕は無意識のうち、一歩ずつ足を進め、辺見の元へとにじり寄る。
吸い寄せられるようにベッドへと辿り着いた、その瞬間。

「ン……!」

僕は辺見の顎を掬い上げ、やや強引に唇を重ねていた。
彼女は前回のセックスに対する感想をまだ伝え足りなかったのか、口付けた後も合間に言葉を発しようとなにやら身じろぎをしていたが、舌先を口腔内にねじ込むころにはそれを諦めてしまったらしく、僕の首にしなやかな両腕を絡め、すっかりとキスに夢中になっていた。
唇は重ねたまま、僕はともすれば乱暴な手つきになってしまいそうなほど興奮しきっている己の心を叱咤し、なるべく柔く丁寧に、彼女の背中をシーツの波へと沈めていく。
口腔内を以前よりも大胆に舌先で蹂躙しながら、僕は経験が浅いわりに驚くほど器用に伸ばした指先で彼女が纏った制服のボタンをひとつひとつ、ゆっくりと確かめるように外した。
裾を持ち上げると、眼下に飛び込んでくる豊満な乳房を包む下着。

「……そのまま、脱がせていいよ」

口付けの合間、囁かれた辺見の甘い誘惑に導かれ、僕はシーツの間に手を潜り込ませ、まずはブラジャーのホックを取り払う。
瞬間、はらりと解けるようにそれは力を失くし、支えきれなくなった二つの膨らみに押し上げられ、あられもない姿となった。
捲り上げたその先に待っていたのは、絶景と見紛うほどに淡く色づいた薄桃色の乳頭と、白い肌。
思わずそこにむしゃぶりつくと、組み敷いた肢体が淫猥にくねり、細い太腿が僕の身体を抱くように挟み込んでくる。

「ン、あ……」

尖らせた舌先で、まずは乳頭を執拗に転がした。そして時折、音を立てて緩く扱くように吸い付き、一刻も早く興奮を育てあげようと躍起になってしまう。
――性急すぎるだろうか。しかし今日は、なぜだか歯止めが利かなかった。
再び彼女に触れたい、繋がりたいという強烈な願望が日夜育ち続け、僕自身も知らぬ間に大きく膨れ上がっていたらしい。

「ごめん、辺見……っ。優しく、出来なくて……」

敏感な個所をこれだけ荒々しく扱っているのだ。もしかすると痛みを感じているかもしれないと愛撫の合間に謝罪を述べると、頭上からくすりと妖艶な笑い声が一つ零れ落ちてきた。

「ううん、これでいいの」

途端に、指の腹で転がしていた乳頭が明らかに固くしこり始める。
見下ろしてみると、それは心なしか下着を取り払ったその時よりもぷっくりと膨らんだような印象を受けた。
感じて、くれているのだろうか。自分のこのような拙い愛撫にも関わらず、彼女は快楽を享受しているというのか。

「あ、辺見……」

それはどこか、神秘的な光景でもある。
自分の舌が、指が、そして吐息が、女性の肉体をここまで淫靡に花開かせることが出来るなんて――あまりにも感動的だった。


(以下略)
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