社会人×JK/ラブホで甘々中出し

噎せ返るような熱気と湿気の照り返す路地を抜けてホテルに足を踏み入れた瞬間、心地よい冷気に全身を包まれ、思わず雪子はほっと息を吐いた。
汗の滲んだ肌がたちまち冷えていく感覚が気持ち良い。隣で肩を並べ歩いていたトシも同じ思いだったらしく、額に滲んだ汗を手の甲で拭いながら「涼しいね」と微笑んでみせたのであった。
彼との逢瀬は、実に三週間ぶりとなる。試験に支障が出てはいけないからと、家族にはもちろん親しい友人にさえ打ち明ける事の出来ない週に一度の秘密の逢引きを控えなければならなかったのだ。
これは自分の中だけに留めている秘密であったが、トシとの情交、そして体温がなかなか頭から離れず、試験勉強の最中にひとり、自身を慰めてしまった事が数度ある。
疼く肉体に刻まれた快楽の記憶を辿りながら、何度自慰に耽ったことだろう。
結局のところ、勉強にはまったく身が入っていなかったのだ。来週には返還されるであろう、解答用紙に記された点数を見るのが恐ろしい。
こんな事では駄目だ。折角、彼が気を使って逢瀬を控えてくれていたのに。そして彼自身は雪子と付き合い始めてからというもの、今まで以上に仕事を頑張っているというのに――。
連れ立ってエレベーターに乗り込みながら、雪子はトシに気づかれぬよう、ほんの僅か眉を顰めて自身の怠惰を悔しがる。
いつだったか、彼が聞かせてくれた話をふと思い出した。
公私ともに上手くいかず、ただ生きているだけで精一杯だったトシは雪子と出逢って以降、生活が一変したのだという。
特別、なにかを成し遂げたという事でもない。だが、心身を重ね合わせることの出来る人間――つまりは雪子のことである――が寄り添ってくれているという事実が彼の情緒に安定を齎し、余裕を生んだらしい。
故にトシは、逢瀬を重ねるたびに言うのだ。雪子ちゃんに会えて良かった。これからもよろしく、と。
嬉しく思う反面、自分は何も変われていない事に焦燥を覚えていたのもまた事実である。
私も変わらなければ。ただ快楽に溺れるだけのふしだらな女だとは思われたくない。社会人として生きる彼の隣に相応しい女にならなくては。
だが、しかし。長い廊下を抜け、目的の部屋へと辿り着いたその瞬間、決意と理性はあっという間に煩悩の彼方へ流されてしまった。

「トシさん……っ」

重厚な扉が閉まるや否や、どちらからともなく唇が重ねられる。
未だ靴すら脱がないまま、狭い三和土の中で手加減も取り繕いもない、激しい口付けに早速と溺れていた。

「ン、あ……っ」

舌先を擦り合わせた瞬間、くびれた腰にぴりりと悦楽のパルスが駆け上がる。それを知ってか知らずか、痺れの走るそこを柔らかく抱き寄せられ、堪らず雪子は嬌声を零してしまう。
初めてホテルに足を運んだあの夜に比べ、トシの施す口付けはその巧みさを増しているようであった。ぎこちなさが多分に残る、探り探りの唇から与えられるむず痒さもなかなか好みであったものの、的確に雪子の弱点を捉えようとする真っ直ぐな今の愛撫もふしだらで非常に劣情を煽られる。
潜り込んだ舌先は今度、ぬるついた上顎の粘膜へと辿り着き、互いの口端から唾液が零れ落ちる事も厭わないまま、激しく蠢いて快楽の焔をそこかしこに灯していった。
上顎、歯列――そんな場所が性感帯であることを今まで知らずにいた雪子にとって、与えられる愛撫のひとつひとつが新鮮かつ衝撃的だった。唇ひとつで、人はこんなにもぐずぐずに蕩けてしまうのである。いつか映画や小説の世界で繰り広げられていた色欲の空間がいかに淫靡で末恐ろしいか、この身に思い知らされつつも、どうしてだかもっと深く溺れていっそのこと彼と堕ちるところまで堕ちていってしまいたいという甘い妄想に取り憑かれてしまう。

「んん、ふ……っ」

口腔内でくちゅりと唾液の搔き混ざる音が零れるたび、鼓膜と子宮が連動するようにじくじくと疼いて堪らなかった。同時に膝がガクガクと震え始めるのが分かる。もはや雪子は自立さえ困難になってしまうほど、悦楽の毒は全身に巡っていたようだ。
そんな雪子の脱力感を、抱き留める腕の感触で察したのだろう。
ようやく彼は唇を離すと、熱っぽくもどこかぎらついた双眸で間近からこちらの痴態を射抜きながらおずおずと口を開いて囁いた。

「ベッド、行こうか」

もつれる足取りでようやく室内へと踏み入り、その奥に鎮座するキングサイズのベッドへと二人してなだれ崩れる。
もはや、衣服を寛げる時間さえ惜しかった。とにかく触れ合いたい一心で互いにその肉体を弄り合い、会えない期間にたっぷりと溜め込んだ劣情を開放する。
衣服の上から胸の膨らみを包み込まれた、ただそれだけで脳髄が焼き切れるようだった。

「ッ、トシさ……!」

気が付けば雪子は背後から抱きすくめられ、一方的な愛撫を全身に受けていた。
未だ身に着けたままであるトップスの隙間から差し込まれた指先で乳頭を押し潰すように捏ねられるうち、自然と腰がむずむずと揺れ動く。そのたび、臀部に感じる彼の熱、興奮の兆しが愛おしかった。
そして続けざま、もう片方の手がスカートの中へと無遠慮に潜り込んでくる気配を察する。ほどなくして下着越しに会陰を擽られ、雪子は思わず息を呑んだ。

「あ、く……ッ」

待ち望んだ場所へと惜しみなく与えられる快楽によって、意図せぬ嬌声を零しかけたものの、寸でのところでそれをどうにか飲み込んで唇を噛み締める。駄目だ、こんなはしたない声を漏らしては。

「う、うう……!」

敏感な個所へと惜しみなく与えられ続ける悦楽は、あまりにも刺激的で甘ったるい。二人を取り巻く周りの空気が湿り気を帯びて、もったりと重く全身に纏わりつくこの感覚も久しぶりだった。
ずっとずっと、こうしたかったのだ。会いたくて、触れあいたくて、しかしいざ触れ合うと妙に照れくさくて、擽ったい。それでも度々、相手のことを求めてしまうのは好きで堪らないからだ。
こちらを抱きすくめる彼も同じ想いなのか、耳朶を擽る吐息が徐々にその熱を増していくのが分かる。それが嬉しくて、同時に気恥ずかしくて、どうにも居た堪れない。彼のことを想えば想うほど、淫らでみっともない痴態を晒してしまいそうで恐ろしかった。
見せたい、でも見ないで欲しい。相反する欲求が雪子の中で混じり合い、興奮の色に染められていく。

「ン、ンっ!」

奥歯を噛み締めても、下腹に力を込めても、どうしたってこみ上げる劣情は堰き止められそうもない。このままではすべてが溢れ出して、垂れ流しとなるだろう。

「ふ、うう……っ」

物欲しげな喘ぎが零れてしまいそうになるのをもはや唇を噛み締めるだけでは堪え切れず、自らの手の甲を口元に押し当ててどうにか耐えようとした――その時だった。

「……雪子ちゃん」

背後から伸びてきたトシの指先に、手首の辺りをそっと柔らかく握り込まれる。

「雪子ちゃんの声、聴きたい」

囁かれた要求に、頬がカアッと熱くなった。
こちらの嬌声など今までにいくらでも聴かせていたはずだが、改めてそれを要求されると羞恥心が下腹の方からこみ上げてくる。まさか今までも、彼は雪子の嬌声に耳を澄ませていたのだろうか。
はしたない女だと思われていたらどうしよう。軽蔑されるだろうか、呆れられるだろうか。根拠のない不安がふいに胸を過ったものの、それらは断続的に与えられる愛撫によってたちまち劣情の中へと霧散してしまう。
欲にまみれた声音を堪能されるのは恥ずかしい――だが、彼の望みにはなるべく応えてあげたかった。
与えられるばかりではなく、自分もなにか与えなければいけないと雪子は考える。愛し愛されることで、より一層深い関係を、そして強い悦楽を手に入れたいと欲深くも思ってしまったのだ。

「あ、あ……っ」

口元に当てていた手の甲と促されるままそっと外したその瞬間、震える唇からたちまち零れたのは悦びの嬌声だった。

「ン、ああ……!」

堪えていた喘ぎを漏らしたその途端、甘い痺れがその強烈さを増したような錯覚に襲われる。否、それは錯覚などではなかったのかもしれない。
理性に隔てられ、押さえつけられていた煩悩が与えられる愛撫を直接受け止めているような、あまりにも真っすぐな快感。
高められて、堕ちていく。従順に学校生活を送っているだけでは決して体験することの出来ない背徳感だった。
ああ、やはり。自分は悦楽に溺れてばかりだ。トシと肌を重ねれば重ねるほど、肉体が浅ましく作り替えられていくのが分かる。
このままでは、彼なしで生きてはいけない身体になってしまうかもしれない。だが、それでも構わないと思い詰めてしまう程、雪子は彼、トシのことが好きで仕方がなかったのだ。

「指、入れるよ」

そんな掠れた宣言と同時に、会陰を押し潰し、転がしていた長い指先がしとどに濡れた膣内へと、とうとうゆっくりと沈んでいく。
物欲しげに蠢く肉襞を掻き分けて潜り込んできた、武骨ながらもどこか柔らかく優しい指先の感触を味わうのも久しぶりのことだった。
臍の直下、恐らくは子宮のあたりが切なく疼く。肌が粟立って、喉が反れた。びりびりと、まるで電流が全身の血管を巡っているような痺れに思わず瞠目する。耐えられない。溢れ出してしまう。

「あああ……っ」

瞬間、爪先がぴくりと跳ね上がった。駆け抜ける刺激と、奇妙な脱力感――もしや自分は、指の挿入だけで軽く達してしまったのだろうか。
肩が上下してしまうほどに呼吸が乱れている。伝う涙は快楽が齎した生理的なものに違いない。涙腺が決壊するほど感じてしまった事実がうまく呑み込めず、雪子は濡れた睫毛をそっと伏せ、尾を引く余韻に浸りながらぼんやりと視線を落としていた。
どうやらそんな雪子の異変を背後のトシも察したらしく、膣内に潜り込ませた指先はそのままに、こちらの様子が気になるのか少々不安げな表情を浮かべて顔を覗き込んでくる。

「大丈夫? 少し休もうか」

相手のことを心から気遣っていることが分かる優しい声音だった。しかし、彼もまた雪子と同じように理性の箍が半ば外れかかっているのだろう。
臀部の辺りに押し付けられている欲望はより熱く、より硬く膨らんで実に物欲しげな様子であった。こちらが無意識に挿入された指先を粘膜で締め付けるたび、押し当てられた欲望の先、硬く頭を擡げた亀頭がぴくぴくと震える様が衣服越しにも生々しく伝わってくる。嬉しかった。彼が自分の身体で興奮してくれていることが。
そして、理性を蝕まれている状況でも尚、こちらを気遣ってくれる優しさが心に染み入るようだった。

「トシ、さん」

どうか、我慢して欲しくないと雪子は思う。そして雪子自身もまた、我慢が出来なくなっているのだ。
自ら腰を微かに揺らし、臀部を押し上げる彼のペニスを擦り上げる。

「指じゃなくて、その……」

言ってしまおうか、飲み込むべきか。逡巡の後、雪子は意を決したように背後のトシを振り返り、彼の下肢――デニムを押し上げる大きな膨らみへと視線を落としながら、改めて唇を開いた。

「トシさんの、入れて欲しいです……」

今にも消え入りそうな声音で零したその瞬間、彼の頬にさっと紅が走る。あまりにも言い方がはしたなかっただろうか、と雪子も釣られるようにして頬を染めたが、臀部を押し上げていた性器が更なる熱を湛えながらピクリと震えたその瞬間、羞恥は跡形もなくどろりと溶けて意味を失くした。

「あ……」

身体が反転し、丸めた背中がシーツへと沈む。

「わかった、もう入れるね。でも全然慣らしてあげられてないし、無理だけはして欲しくないから辛かったら教えて」

言いながらも、こちらを見下ろす彼の表情にはどこか獰猛な獣じみた飢餓感が滲んでいる。雪子の自惚れでないならばそれは、今にも食らいついてしまいたい衝動を微かに残った最後の理性で押し留めているような土壇場での優しさだった。

「大丈夫、です。奥まで……」

ください、と。言いかけた要求はほどなくして叶えられることとなる。

「ン、あああ!」

膣口に押し当てられていた亀頭の先が、ゆっくりと子宮を目掛けて沈んでいく。熱くて、硬い。少しだけ苦しくて、気持ちが良い。
反射的に雪子は自らに覆いかぶさる男の背中を両腕で掻き抱いて、もっと奥へ、もっと深くへ欲望を誘おうと、内壁で挿入されたそれをきつく締め付けていた。

「ッ、雪子ちゃん……」

咥え込んだペニスを絞り込むように蠢く襞の感触が堪らないのか、腰を押し進めながらトシが上擦った声でこちらの名を呼ぶ。
見下ろす双眸に宿る情欲が雪子を貫いたその瞬間、下腹が切なく疼いてしまうのを止められなかった。
彼が、私の痴態で興奮している――それを自覚させられるたび、禁忌に足を踏み込んでしまったかのような、危険を孕んだ背徳に満たされてどうしようもなく乱される。
薄々、気付いてはいたのだ。自分たちの関係が不適切であることも、なにもかも。だが、それでも雪子は彼の傍を離れられなかった。むしろ、もっと近づきたい。もっと、深くまで入ってきて欲しい。そんな身勝手な欲望ばかりが逢瀬のたびに募り、際限なく求めてしまう。
このまま戻れなくなってしまっても構わない。なんて事を口にしたら、優しい彼はどんな反応を示すだろうか。

「あ、ンン! ァ、ふかい……っ、トシさんの、ココまで届いてる」

言いながら、思わず臍の下あたりを無意識に撫でていた。
薄い皮膚の下、すぐそこで彼のペニスが力強く脈打っているのが分かる。この瞬間が、なによりも雪子は好きだった。
生まれてからずっと傍に寄り添い続けた両親や仲の良い友人にすら触れられたことのない秘所に、彼を、トシだけを受け入れているという優越感に浸りながら、あとは本能に流されるまま、生じる快楽に乱され、悶え続ければいいのだから。

「……あ、あ! ふ、ァっ」

たっぷり時間を掛けて根元まで埋め込まれたその後、待ち望んだ律動がようやく開始される。
膨らんだ亀頭が濡れそぼる内壁の粘膜を擦るたび、ぐちゅぐちゅと淫猥な水音が自身の下肢から零れ、羞恥をより大きく煽られた。
肌が粟立ち、汗が噴き出す。打ち付ける腰の動きに合わせて軋むベッドの物音すらどこか卑猥に思えて、なにもかもが快楽に化けていくようだった。

「雪子ちゃんのナカ、狭くて気持ちいい……っ」

ぬるぬるしていて、熱くて、柔い。
熱い吐息交じりに耳元でそう囁かれ、言い表しようのない悦びがこみ上げてくる。

「ん、トシさんのも……。あつくて、かたくて、大きくて……」

瞬間、律動が激しさを増した。
互いの呼吸が乱れ弾み、滴る汗が全身を濡らしていく。肌がぶつかり合う音も徐々に湿り気を帯びて、いやに熱っぽい。
最奥を突き上げられるたび、ずくりと疼く煩悩が肥大するようだった。

「あ、は……っ、あ、ンン、やァ!」
「雪子ちゃん、もう……!」

絶頂に向かい、急速に駆け上がる。
律動の合間、開いたままの唇や首筋、硬くしこった乳頭に何度も口づけられ、体中どこもかしこも気持ちが良い。
衣服すらろくに寛げないまま始まった性急な行為は、早くも一度目の終わりを迎えようとしていた。
触れられていないはずの陰核が、痛いほどに膨れ上がって決定的な瞬間を待ち望む。

「出して、トシさ……! ぜんぶ、私の中に出して欲しい……っ」
「う、あ……!」

堪え切れず、ほとんど泣き叫ぶようにしてそう強請った次の瞬間。

「ァ、ふあ……」

腹中で熱が大きく弾けた。
膣内にじんわりと、生暖かい感触が広がっていくのが分かる。やがてそれはどろりと零れ、雪子の臀部や太腿へと流れ落ちていった。

「あ、トシさんの……」

再び雪子は自らの下腹を掌で摩りながら、ふとその口元を綻ばせ、絶頂の余韻を噛み締める。

「いっぱい、私のナカに出てる……。うれしい……」

しばらく肌を重ねていなかった為か、吐き出された白濁は心なしかいつもよりその量を増しているような気がした。
彼も雪子と同じように劣情を溜め込み、我慢していてくれたのだろう。それが何より嬉しかった。

「……少し、休憩しようか」

言いながら、トシがゆっくりと慎重に、自身のペニスを雪子の中から引き抜いた。その拍子に膣内から更に残滓が零れだし、嬉しくも恥ずかしいような、むずむずとした感覚に襲われる。
ああ、一度シャワーを浴びなければ。でもどうせなら、彼と共にゆっくりと湯船に浸かりながらひと時を過ごしたい。
快楽の余韻から抜け出せずにいる思考は留まる事を知らず、次から次へと甘い欲望を生み出しては新たなる欲求をどこからか連れてくる。
自分はどこまで貪欲なのだろう、と半ば自身に呆れつつも、雪子はその身をシーツの上に横たえたまま、頭上の彼へと甘えるように擦り寄った。

「疲れちゃった? いま飲み物でも……」

そう言って冷蔵庫へと向かおうとしたトシの身体を、雪子は反射的に引き止め、汗の滲む首筋へと腕を絡めてシーツの上へとそのまま戒める。
もう少し、寄り添っていたかった。尾を引く余韻に孕んだ快楽の焔を消してしまいたくない。出来る事ならば更に燃え上がるような経験が欲しい――。

「もうしばらく、こうしていて下さい」
「雪子、ちゃん」
「ああ、でも……。またシたくなっちゃいますね」

顔を上げ、意図的に視線を交わらせる。どうやらこちらの抱える劣情の気配を、彼は瞬時に察したらしい。
再びぎしりとベッドを軋ませながら、互いの距離がゼロになる。
何度重ねても飽きる事のない肌と唇の感触に酔い痴れながら、雪子はゆっくりと睫毛を伏せ、伸し掛かる男の心地よい重みを全身で受け止めたのであった。